一枚目 「卑劣なる者」 名誉と栄光のためでなく
2015年1月28日 TCG全般 コメント (2)
バシャア!
「あ、あ、ああ!!!!!」
声にならない声をあげる少年。そしてその後彼は生涯で最も大きな声で絶叫するのであった。
注意一秒怪我一生と昔の人はうまいこと言うなあとは思うが、まさにその通り。事故の内容はこうだ
「少年が大事にしていた遊○王カードに、少年の弟が牛乳のはいったコップを倒してしまった」
当時のカードゲーマーがどれくらいカードを大事に使っていたかは田舎出身の少年にも僕にもよくはわからないのでなんとも言えないのだが、少なくとも少年はカードをスリーブに入れてはいなくて、彼の戦友たちはアワレ牛乳まみれになってしまったのであった
修正値としてはマイナス2くらいに見えそうなもんだが、牛乳まみれでカッピカピにしおれてくさくなって曲がって、もう使い物にならなくなったソレはヘビープレイドとすら呼べないくらいに再起不能(リタイア)であった
少年は怒りの天使のごとく弟をしかり、無慈悲のように粉砕してやりたかったがどうせ「お前の肉から皮膚を、骨から肉を引きはがしてやる。骨についてる肉片も全部こそげ落としてやる。それでもまだ十分じゃないんだ。 」となるのはわかりきっていたのでやめた。
少年の弟は幼稚園児である、全力で格闘などできるわけもなかったし親がその一部始終を見ていたのでそんなものは全力で「否認」されるにきまっている
しかし少年の落胆と感情の異常な高まりっぷりを見て親もさすがに何か手当てをと思ったのだろう。おそらくそのデッキにかけた価格の何分の何なのかもわからないが、新渡戸稲造をそっと差し出したのであった
※もしかして、新渡戸稲造といっても今の若い子にはわからないのだろうか・・・あわわわわわわジェネレーションギャップ!だとしたらお母さんお父さんに聞こうね☆
しかしそれから先の少年は荒れた、荒れたとはいえ盗んだバイクで走り出したりすることもなく、スーパーファミコンの悪魔城ドラキュラXをひだすらやったりとか、ファミコンの悪魔城伝説をひたすらやったりとかなんかこう不健康な方向にねじくれた
もうブルーアイズ検閲ドラゴンで戦えない・・・嗚呼・・・
ショップでカードのパックを見る少年の目は虚ろである
全てが水泡に帰した今となっては、もう一度デッキを組もうという気にはなれなかった
それは賽の河原での積み直しのようでもあるし、もう一度それをやる気にはなれなかったのである
ああアワレ、少年の魂の抜け殻は田舎町をさまよう
休日、やることもなくなった少年は地元のショップに行った
ショップとは言っても、そのショップは文具店・本屋・ゲームなどが雑多に並べられた今にしてみれば本当によくわからないショップだなあこれ、なんなんだ・・・というようなお店であった。あとこの語り口調もう疲れてきたんでもうやめたくなる僕であった。
そこで少年は友人の・・・そうだな、ここでは名前を伏せてKとしておこう。K・・・に出合った。
Kとは小学生の頃から同学年で、少年とはまあそこそこ仲が良かった。人懐っこい顔と性格をしており、いいやつだった。
K「最近どう?」
疲れきった顔を少年がしていたからなのか、社交辞令なのかはわからないけどKが声をかけてくる
少年「いや、なあ。弟が遊○王カードに牛乳ぶちまけてしまったせいでカードがしおしおになってしまった。んっとに許せねえよー!」
K「そうかー、だったらさあ」
僕「うん?」
K「マジックザギャザリングって、知ってる?」
まじっく?ざ?ぎゃざりんぐ?
なんでザが真ん中にくるんだ?というかナンダソレ?
僕「知らない」
K「じゃあためしに見てみる?家にあるからさ」
そんなこんなでその文具店(ショップとは言ったが、文具店を自称していた)を後にして、少年はKの家に早速向かった。
Kの自宅につくと、Kはお菓子の箱を持ってきて、ソレを拡げた
これが少年とMTGのファーストコンタクト、少年は今でもそれを昨日のことのように鮮明に覚えている
初めてそれを見たときの率直な感想として、初見の人々が口にする言葉を少年もまた発したのである
少年「なんかこれ、絵が気持ち悪くね?」
そう、なんかこう気持ち悪いのである、オッサンとかミノタウロスとかなんか絵画風みたいなイラストばっかりで、おどろおどろしいというか、それこそ呪術的なものがかかった謎のアイテムのような
いい言い方をすれば「見てはいけないものを見てしまったようなカンジ」を少年は抱いたのだった
ドラゴンカッケーなカードゲームをやっていた少年にとってはリバーなボアもイマイチだし、なんかショワーって消失しているような青色のカードもそんなにハマらなかった
少年「これの攻撃力と守備力ってどうなってんの?」
K「この1/1ってなってるのあるでしょ、これだよ」
少年「よ!弱っ!遊○王より弱いじゃん。なんだよ1って!」
K「でもこれ遊○王の元になったゲームだよ」
少年「そうなの?」
ここから先はよくMTGプレイヤーが遊○王プレイヤーを誘惑する誘い文句のようなものを連発されるのだが、長くなるので要約すると
・遊○王はMTGの元になったカードゲームで、そもそもトレーディングカードゲームというものを作り出した一番最初につくられたカードゲームだということ
・国内外でも遊ばれていて、(当時は)世界で一番遊ばれているカードゲームであること
・なんか知らないけど100万円以上のカードがあるらしい、ということ
などなどが聞かされた
少年はなんだかすげえ楽しそうだなあなどと小学生並の感想、とういか小学生なんだから小学生の感想を述べた
と同時に海外プレイヤーと豪華客船にのって談笑しながら対戦する成長した自分の姿を思い浮かべるのだった
なんかいろいろ間違ってないかとか突っ込みを入れてやりたいが、海外のプレイヤーと対戦する機会が船にのって対戦とかいうよくわからないイコールを生み出したのだろう、どうなってやがる
少年「へー、面白そうだなー、じゃあジョーノウチみたいにパックから100万円のカードとか出たりするのか!」
K「そうだよ!すごいよなー!」
ブラックロータスは第五版から出ねえよ!
もういろいろ間違ってるけど、Kも同志がほしいのだろう、言葉につまりながらもヤケクソ気味である
ちょっとテンションの上がってきた少年、それが最高潮を迎える瞬間がすぐそこまできていた
少年は一枚のカードを手に取った
身体は骨しか残っておらず、それを支えきれず鉄線で翼をくくりつけてかろうじてヒトガタになっているデーモン。
少年の目がきらきらと輝く
ささくれ少年のマジックライフが始まった
The Wretched / 卑劣なる者 (3)(黒)(黒)
クリーチャー — デーモン(Demon)
戦闘終了時に、あなたが卑劣なる者をコントロールし続けているかぎり、卑劣なる者をブロックしているすべてのクリーチャーのコントロールを得る。
2/5
「あ、あ、ああ!!!!!」
声にならない声をあげる少年。そしてその後彼は生涯で最も大きな声で絶叫するのであった。
注意一秒怪我一生と昔の人はうまいこと言うなあとは思うが、まさにその通り。事故の内容はこうだ
「少年が大事にしていた遊○王カードに、少年の弟が牛乳のはいったコップを倒してしまった」
当時のカードゲーマーがどれくらいカードを大事に使っていたかは田舎出身の少年にも僕にもよくはわからないのでなんとも言えないのだが、少なくとも少年はカードをスリーブに入れてはいなくて、彼の戦友たちはアワレ牛乳まみれになってしまったのであった
修正値としてはマイナス2くらいに見えそうなもんだが、牛乳まみれでカッピカピにしおれてくさくなって曲がって、もう使い物にならなくなったソレはヘビープレイドとすら呼べないくらいに再起不能(リタイア)であった
少年は怒りの天使のごとく弟をしかり、無慈悲のように粉砕してやりたかったがどうせ「お前の肉から皮膚を、骨から肉を引きはがしてやる。骨についてる肉片も全部こそげ落としてやる。それでもまだ十分じゃないんだ。 」となるのはわかりきっていたのでやめた。
少年の弟は幼稚園児である、全力で格闘などできるわけもなかったし親がその一部始終を見ていたのでそんなものは全力で「否認」されるにきまっている
しかし少年の落胆と感情の異常な高まりっぷりを見て親もさすがに何か手当てをと思ったのだろう。おそらくそのデッキにかけた価格の何分の何なのかもわからないが、新渡戸稲造をそっと差し出したのであった
※もしかして、新渡戸稲造といっても今の若い子にはわからないのだろうか・・・あわわわわわわジェネレーションギャップ!だとしたらお母さんお父さんに聞こうね☆
しかしそれから先の少年は荒れた、荒れたとはいえ盗んだバイクで走り出したりすることもなく、スーパーファミコンの悪魔城ドラキュラXをひだすらやったりとか、ファミコンの悪魔城伝説をひたすらやったりとかなんかこう不健康な方向にねじくれた
もうブルーアイズ検閲ドラゴンで戦えない・・・嗚呼・・・
ショップでカードのパックを見る少年の目は虚ろである
全てが水泡に帰した今となっては、もう一度デッキを組もうという気にはなれなかった
それは賽の河原での積み直しのようでもあるし、もう一度それをやる気にはなれなかったのである
ああアワレ、少年の魂の抜け殻は田舎町をさまよう
休日、やることもなくなった少年は地元のショップに行った
ショップとは言っても、そのショップは文具店・本屋・ゲームなどが雑多に並べられた今にしてみれば本当によくわからないショップだなあこれ、なんなんだ・・・というようなお店であった。あとこの語り口調もう疲れてきたんでもうやめたくなる僕であった。
そこで少年は友人の・・・そうだな、ここでは名前を伏せてKとしておこう。K・・・に出合った。
Kとは小学生の頃から同学年で、少年とはまあそこそこ仲が良かった。人懐っこい顔と性格をしており、いいやつだった。
K「最近どう?」
疲れきった顔を少年がしていたからなのか、社交辞令なのかはわからないけどKが声をかけてくる
少年「いや、なあ。弟が遊○王カードに牛乳ぶちまけてしまったせいでカードがしおしおになってしまった。んっとに許せねえよー!」
K「そうかー、だったらさあ」
僕「うん?」
K「マジックザギャザリングって、知ってる?」
まじっく?ざ?ぎゃざりんぐ?
なんでザが真ん中にくるんだ?というかナンダソレ?
僕「知らない」
K「じゃあためしに見てみる?家にあるからさ」
そんなこんなでその文具店(ショップとは言ったが、文具店を自称していた)を後にして、少年はKの家に早速向かった。
Kの自宅につくと、Kはお菓子の箱を持ってきて、ソレを拡げた
これが少年とMTGのファーストコンタクト、少年は今でもそれを昨日のことのように鮮明に覚えている
初めてそれを見たときの率直な感想として、初見の人々が口にする言葉を少年もまた発したのである
少年「なんかこれ、絵が気持ち悪くね?」
そう、なんかこう気持ち悪いのである、オッサンとかミノタウロスとかなんか絵画風みたいなイラストばっかりで、おどろおどろしいというか、それこそ呪術的なものがかかった謎のアイテムのような
いい言い方をすれば「見てはいけないものを見てしまったようなカンジ」を少年は抱いたのだった
ドラゴンカッケーなカードゲームをやっていた少年にとってはリバーなボアもイマイチだし、なんかショワーって消失しているような青色のカードもそんなにハマらなかった
少年「これの攻撃力と守備力ってどうなってんの?」
K「この1/1ってなってるのあるでしょ、これだよ」
少年「よ!弱っ!遊○王より弱いじゃん。なんだよ1って!」
K「でもこれ遊○王の元になったゲームだよ」
少年「そうなの?」
ここから先はよくMTGプレイヤーが遊○王プレイヤーを誘惑する誘い文句のようなものを連発されるのだが、長くなるので要約すると
・遊○王はMTGの元になったカードゲームで、そもそもトレーディングカードゲームというものを作り出した一番最初につくられたカードゲームだということ
・国内外でも遊ばれていて、(当時は)世界で一番遊ばれているカードゲームであること
・なんか知らないけど100万円以上のカードがあるらしい、ということ
などなどが聞かされた
少年はなんだかすげえ楽しそうだなあなどと小学生並の感想、とういか小学生なんだから小学生の感想を述べた
と同時に海外プレイヤーと豪華客船にのって談笑しながら対戦する成長した自分の姿を思い浮かべるのだった
なんかいろいろ間違ってないかとか突っ込みを入れてやりたいが、海外のプレイヤーと対戦する機会が船にのって対戦とかいうよくわからないイコールを生み出したのだろう、どうなってやがる
少年「へー、面白そうだなー、じゃあジョーノウチみたいにパックから100万円のカードとか出たりするのか!」
K「そうだよ!すごいよなー!」
ブラックロータスは第五版から出ねえよ!
もういろいろ間違ってるけど、Kも同志がほしいのだろう、言葉につまりながらもヤケクソ気味である
ちょっとテンションの上がってきた少年、それが最高潮を迎える瞬間がすぐそこまできていた
少年は一枚のカードを手に取った
身体は骨しか残っておらず、それを支えきれず鉄線で翼をくくりつけてかろうじてヒトガタになっているデーモン。
少年の目がきらきらと輝く
ささくれ少年のマジックライフが始まった
The Wretched / 卑劣なる者 (3)(黒)(黒)
クリーチャー — デーモン(Demon)
戦闘終了時に、あなたが卑劣なる者をコントロールし続けているかぎり、卑劣なる者をブロックしているすべてのクリーチャーのコントロールを得る。
2/5
コメント
幼子に牛乳とかかけたことないし、さも過去にやっていたかのようなコメントはやめてくださいいいいいい!まだ警察にはお世話になりとうございませんッ!